NSPは、I社が開発しようとしたマルチメディア処理機能をもつチップで、ダイレクトXの機能と重なる部分があった。
M氏は、I社内の電子メールを呼びだし、E氏とM社がNSPの構想にどれだけうろたえていたかをしめした。
そして、E氏がほんとうに、M社は完全にコントロール可能なソフトウェアドライバをほしがっていると発言したのかどうかを知りたかった。
E氏はまばたきひとつしなかった。
わたしがいったことばだとしても驚きはありません。
あのころはすごく思いあがっていましたから。
そして、ドライバの開発をほかの企業にまかせていると、M社は、コントロールできないデベロッパーに翻弄されることになるのだと、ここでも、E氏はひるまなかった。
その段落の要点は、(N氏による)I氏のサポートから、(ディメンションX社の)買収へ流れを変えようということです。
I氏がN氏にとってどれほど重要であるかを考えますと、I氏と同等のソフトウェアがN社の手にわたるのを阻止するのは、きわめて重要なことと思われます。
彼らにとって重要なシールを奪い取ることで、われわれは大きな戦術的勝利をおさめることができます。
J氏が午後遅くの休憩をとったとき、M社の弁護士たちがすばやくE氏のまわりに集まった。
彼らは、E氏が「すこし自信過剰気味」ではないかと心配していた。
だが、ここにいるのは、法廷の時間をむだにするだけの、役に立たない人生の落伍者ではない。
いまは任を離れているとはいえ、彼はつねに変わることなく伝道師であり、敵の喉笛を狙う背教者であり、心の底はビースティ・ボーイなのだ。
審理が再開されると、M氏は、E氏が担当したD社の買収に照準を合わせてきた。
JAVAベースのマルチメディア・オーサリング・ソフトウェア、リキッドモーションで知られていたサンフランシスコの会社だ。
M社の弁護士たちは、本件の審理には無関係だと異議をとなえたが、判事はM氏に質問を続けさせた。
M氏は、E氏の電子メールを持ちだして、彼を良にかけようとした。
その電子メールには、D社を先に買収して、S社のJAVAソフト部がN社といっしょに同社を手に入れる機会を奪うべきだという話が書かれていた。
M氏はとくにこの段落を自身が感じた心の葛藤をちらりと思いだした。
率直にいうと、わたしはI氏のプロジェクトを抹殺したかったんですが、N氏のサポートだけは必要だったんです。
何週間もぶっ続けで法廷に顔を見せていたN氏が、椅子の上で身をよじった。
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